『焼跡・都電・40年』  林 順信 著
     −激変した東京の町ー  大正出版 刊


 下町編(神田、日本橋、浅草、上野、新橋、両国、深川 等々)と山の手編(丸の内、渋谷、池袋、九段、本郷、新宿、麻布、青山、六本木、広尾 等々)の二冊に分かれている。
これは写真集である。

 戦災で焼け跡の残る昭和22〜23年の航空写真、昭和41〜42年の都電の写る風景、そして20年後、昭和62年の(この本の出版が62年なので)同じ場所に立って撮影した都電のない風景と、三枚の写真を対比させている。

 同じ場所に立つことにより(定点撮影というらしい)周囲の建物の変貌ぶりがはっきりとわかる。

 昔はこうだったといくら言うよりも、写真を一目みればわかる、ということがある。

 昭和42年と昭和62年、この20年間の変化は、単に都電がなくなった、という事実だけでない、数多くの事を教えてくれる。

 昭和62年のものは確かに、頭上の網の目のような都電の架線がなくなり、すっきりしている。
けれど今度は高層ビルに空を遮られ、川の上にも高速道路でふたがされ、空の面積が少なくなってきている。

 この本は東京生まれの人に是非とも読んで(見て)ほしい一冊である。




 『都電が走った街今昔』   林 順信 著
      激変の東京ー定点対比30年 日本交通公社

 定点写真集、これは、昭和42年から一気に平成8年へと30年の時を超える。
これも、下町編、山の手編の二冊。

 写真集の説明は難しい。 
とにかく見てもらえばわかるのだけど、この30年の変化はすさまじく、全く別の所に見える場所さえある。
いかに東京の変化がめまぐるしいかが、よくわかる。
都電と一緒に写っている人間の服装の変化も興味深い。

 都電路線図、都電・トロリーバス車両解説、都電系統別最終運行一覧等もあり。



 ☆あとがき☆

 しいかが子供の頃、東京都内は都電が縦横に走っていて、銀座へも渋谷へも都電で出かけた。
もちろん、都バスも平行して走っていたけれど、線路の上を走る電車で、ちょっとスピードが遅いけど、どちらでも行かれるという時には、都電を選んでいた。

 昭和42年というのは都電が廃止になる直前の頃であり、筆者は記念のためにこの写真を撮っている。
都電は現在は荒川線のみが残されている。

 ここで見る風景は、まさに子供の当時の東京の町並みで、しいかにとっては懐かしい景色の数々である。
東京で育った同年代の人には是非とも読んでほしいと思う。

 下記は都電の参考本です。

 『東京都電慕情』  林順信 著  ジェイティ刊
 『東京都電回廊の自然』  小野誠一郎 著  冬青社 刊
 『都電系統案内』  諸河久 著  ネコ・パブ 刊
 『東京都電6000形』  江本廣一 著  ネコ・パブ 刊
 『都電車両総覧』  江本廣一 著  大正出版 刊



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